Stay with me(ISLAND)
~“Stay with me”という曲を知っていますか?~
1987年にリリースされた、ISLANDという沖縄のバンドの曲だ。
サム・スミスも同名のすごくいい曲を出しているが、そちらではない。
私は、学生のころ、ラジオを聞くのが好きだった。よく聞いていたラジオで「Sinon」という女性が歌うStay with meを聞いたのがこの曲との出会いだった。
シノンが沖縄出身ということはラジオでの紹介で知っていた。かといって沖縄民謡的な曲調ではなくロックバラードで、純粋にメロディとアレンジが気に入ってアルバムも買った。
大人になってからふと、あのシノンさんはどうしているだろうと検索してみたところ、この曲の由来が書かれているサイトを発見し、興味深い歴史があるとわかったのだった。
Islandというバンドは、私はリアルタイムで知らない。どうやら、一時期売れていたらしい沖縄のロックバンドだ。
沖縄出身のメンバーで構成されていて、1980年代にバンドと同名の地元のライブハウスで活動していたという。
ボーカルとベースの城間兄弟は、Island以前は「紫」というバンドで活動していた。
紫は、沖縄初の本格的なハードロックバンドで、全国的に有名だったようだ。
紫という名のとおり、Deep Purpleにかなり影響を受けていたらしい。
本場のハードロックにも負けない上手さと質の高さでコアなファンを獲得していたという。(紫は今でも活動しており、もはや伝説と化している)
そんなバンドで活躍していたメンバーなのだから、Islandのクオリティが高いのは間違いない。
Stay with meをライブハウスで聞いた松任谷由実が、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組オールナイトニッポンで紹介したのが全国的に知られるきっかけになったとのこと。
私は、それをカバーしたSinonを何も知らずに聴いてこの曲を好きになったのだった。
なお、紫のバンドのメンバーは皆、ハーフやクォーターなど、外国軍属の血をひいている。
ここに、沖縄の歴史を感じることができるだろう。
シノンも沖縄出身。
漢字では「紫音」と書く。「紫」が入っているということにようやく数年前に気づいた私は鈍い。
そう、やはりあのバンドが原点なのだ。
アメリカに進攻されたくさんの犠牲者を出したこと、長い間統治されたこと。日本に返還後も基地問題、海兵隊の犯罪など苦難の歴史を歩んでいる沖縄人の心情は、遠いところから見ている私たちにははかりしれない。
戦争中の沖縄の戦いなどについては、たくさん本も読んだし、それなりに知っていると思う。
しかしこの曲がきっかけで、私は戦後、とくに返還前後の沖縄にも興味を持つようになった。
今のようなリゾート地ではない、アメリカ統治下の生活はどうだったのだろうか。
苦難の歴史は、戦争が終わっても形を変えて残っていた。
その中で、混血の人々は苦労したに違いない。前に見たドキュメンタリーでは、明らかに差別があったと当事者が語っていた。
複雑なルーツを持つメンバーが作ったこの曲は、軽々しくカバーできるものでないだろう。
だから、沖縄出身の歌手が歌うのだ。
沖縄のシンガーが歌うStay with meには、魂がこもっている。
DA PUMP、Sinon、石嶺聡子、MONGOL 800…
残念ながらボーカルの城間正男は、2000年以降、犯罪を犯し三度逮捕されている。兄のベース、城間俊雄は2011年に病気で亡くなった。
この双子の兄弟がIslandとして同時に舞台に立つことはもうできない。
しかし、曲は別だ。
沖縄の人が大事に歌い継いでいる。
そしてそれに感銘を受けてこの曲のファンになる人がいる。私のように。
甘く切ない気分になったときは、ぜひ、誰のバージョンでもいいから、聴いてみてほしい。
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ISLAND、Stay with me、紫について
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【名曲】 Island 『Stay with Me』 : コンサルタントのはみだしレビュー
城間正男 復活! - 居酒屋日記
ISLAND
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