ソウルメイト
先日、趣味仲間に気に入られていることを書いたが、今回も軽くお茶にと誘われ、重い気分でOKした。
彼は今日もデートだ♪と喜んでいたが、苦笑するしかない。
疲れていたが、古民家のようなカフェで冷たいものを飲んで涼んだ。オリジナルのメニューはとても美味しかった。
アンティークなものがたくさん置いてあるとても面白いお店で、いろんなことを話した。
彼は驚くほど私と似たような価値観を持ち、私とは違ってとても寛容で、何でもオープンに話す。
私の四十年余りの人生の中で、これほどまでに器の大きいひとに出会ったことはない。
お茶のあとに行きたいところがあると、彼の知人の経営するショップに連れていかれ、そのあとは趣味のグループの仲間が以前紹介してくれたお店へ。
結局本当に夜までデートのような感じで過ごしてしまった。
車の中でもお店でも、とにかくいろんなことを話し合った。
こんなこと言ったら引かれるから普通は話さないよね、というようなことも言えるし、向こうも話してくれる。
それは自身のことだったり、ニュース、経済、趣味の活動のことだったり。
楽しくて癒されて満たされる気分でいっぱいだった。
ただ、ことあるごとに入れてくる私への褒め言葉のようなものに、照れくささと困惑を感じていた。
そのうち、「口説いているわけではないけれど、ポーシャさんは本当に素敵です。僕、好きだなあ」と言い始めた。
ストレートですね、いろんな意味で。
気持ちは嬉しいけど、私なんかやめといたほうがいいですよ。
わたし、いろいろあって、今は誰かと一緒にいたいとか思わないし、結婚もしたいと思っていないです。
若い人のようにパッと盛り上がって付き合うとか、そういう風にはできないです。
きっと、ご期待には沿えないですよ…。
というようなことを話したと思う。
彼は、自分もいろんなことを経験して、ガチガチの家族みたいなものを作ろうとは思っていない、一緒にいろんなことを経験していきたいというようなことを話してくれた。
正直なところ、わたしはこの人に寄りかかっていたい、と思った。
寂しいからなのか、今日1日満たされた気分でいたからかわからないが、隣で寄り添っていたいと思った。
少しだけ、心と身体がキュンとなっていることに気づいた。
駅に向かう途中、あなたのことは人間として大好きだ、恋人とかそういうものより、ソウルメイトに近いものを感じている、と伝えた。
そのあとの彼の反応は“残念、がっかり”が透けて見え、最後はすっかりしょげた表情になってしまった。
私は彼の両手をとって握手をして別れた。本当はハグをしたかった。
時間をおいてこの日のことを考えたとき、私の気持ちは何だったのだろう、と思う。
わたしを理解してくれる、全てを受け入れてくれる彼の優しさや度量の大きさに甘えているだけではないか。
寂しさがあるのではないか。
とにかく寄りかかっていたかった。
私のことを強くて繊細な人間だと思い込んでいる節もあり、それも困っている。
こんなに誰かに寄りかかりたくて、でも放っておいてもらいたくて、不安定さ丸出しのわたしなのに、勘違いして包み込まれても困るのだ。
すごく温かくて優しくて、ずっとそこにくるまっていたいような、、、。
でも、それはいつまで続くかな。
最終的にこんな人だっけ?となるオチが見えている。
彼とは趣味やそれ以外にも活動を広げていろんなことを一緒に経験してみたい。そして心の底からわかり合い、どこにいても励まし合い、喜び合いたいと思う。
それこそ、ソウルメイトに近いと感じる。
誰にも感じたことのない感情だ。初めて抱くこの感覚。
女性への愛情や性的な欲求はあるし、パートナーもほしいと思う。
そういうものとはまた違ったこの感情・感覚に、ああ、こういうのもあるんだと、新たな発見というか、人間て奥深いんだなぁと疲れた頭と心で感じている。
また来週会いたいな、と思うが、彼が失望して去っていってもそれは仕方ない。
何かの拍子に、私のセクシュアリティーのことを話すかもしれないし、どうなるかわからない.
考えるだけで、涙があふれ出そうになる。
余計な感傷はいらないのにね。
考える時間を、なくそう。
それが一番だ。